喪失 #3

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気のせいならいいのに そんな俺の自分勝手な都合で弓槻を追い詰めた 見開いた瞳からこぼれた水滴が、頬を跳ねて一粒流れ落ちた 「これ、出していーか」 見てはいけないものを見てしまった罪悪感で、ひとたび視線を反らしたけれど 胸の痛みは酷くなるばかりで、――その苦しさに耐えれたのは数秒だった 「え、――あ、うん」 明らかに、掠れたその弓槻の弱々しい声を聞いた瞬間 意識はもう飛んだようにどこかに行っていて――弓槻の身体を抱き締めていた 「……なせ」 「悪い」
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