喪失 #4

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感傷にふけってたさっきまでの空気はもうどこにもなくて 「冷めるからたべよ」 「あ?お前のぶん、ねーよ」 「いーじゃん、真ん中ひと切れちょーだい」 何事もなかったようにする弓槻の目尻には、まだ涙の跡がある それが痛々しくて――誰のためのなんの涙なのかなんてわかっていたから 悔しくて、それをシャツでぬぐいとった 「家メシって、結構いーな」
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