喪失 #4

16/26
前へ
/35ページ
次へ
互いに濡れた身体は、なんの準備もなしにすぐに繋がった ただの水滴だけの摩擦は滑りがぎこちなかったけれど、そんなものはいつの間にかすぐになくなって、滑りを帯びて厭らしい音をたてる 今にも吐き出してしまいそうになるほど、弓槻のなかは良くて、自分を抑えるために冷水を繋がった部分にかけた とんでもない音がバスルームに響いて、その都度弓槻が高揚した顔で声を上げた 「そんなにいーの」 背後から弓槻を貫きながら、ふらふらの腰を鷲掴みする 弓槻は酷く乱暴にすればするほど、身体をくねらせる 「お前って誰のでもいいわけ」 「――わかんな、い」 その返答は、求めてたものとは違って、――やはり予想していたとおりの言葉で ――頭に、血が上る 片足を持ち上げ、水圧を強くしたシャワーで抜き取った場所て口をひらいたままの部分を責め立てる 「――やめっ」 「何でもいいんだろ」 とたんに痙攣して狂ったようにうめき声を出したその姿が ――俺の芯に、熱を甦らせる 「っふ、七瀬っ」 俺の名前を連呼しながら、「気持ちいい」と何度も叫んで、再度繋がった部分を締め付ける
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1581人が本棚に入れています
本棚に追加