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愛しさが増していく分だけ、自分が惨めになるだけなのに
「――茉麻」
名前を呼んでみても、息はしている様子でそのまま眠ったようにしている弓槻の身体を脱ぐってそのまま包み込むようにして自分もうなだれる
密着した肌は互いに汗ばんでいて、それですら不快にも感じず、暫くじっと息を潜めた
―――ーー……
「茉麻、おい」
「――ん」
気がついて時計を見れば、眠っていたのか数十分たっていた
「茉麻」
「っ――あ!?」
「お前、起きろよ。準備できねーだろ」
弓槻の足がすっかり俺にまきついていている、すげえ寝相。
っていっても、俺が抱いて離さなかったせいでもある
「七瀬」
なのに、この女ときたら。
「もうちょっと……」
「どっちの」
「――へ」
能天気というか、タフというか。
「寝ないつもりなの?お前」
「そっ、そっちじゃない」
てっきり、もう一戦。って言うのかと思っていたら、頬をあからめて焦るその姿に、――思わず、
「じゃ、なに?」
期待、してしまう
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