喪失 #4

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台所にたどりついてから、ゆっくりと弓槻をおろす まだふらつくその身体を支えて 「ほれ」 冷蔵庫から取り出したペットボトルを渡す 「ん」 しおらしいわりに、豪快な飲みっぷりの弓槻の唇からミネラルウォーターがこぼれてる それごと、舌をはわせて水滴をペロリと舐めた 「こぼしすぎ」 「――っ」 固まってる弓槻の顔が可笑しいから笑いそうになったけど、知らんぷりをした 「あー、かったるいな、用意すんの」 「アンタがスイッチ入れるからでしょ」 「お前が悪いんだろ」 ――どっちもどっち 「だって、溜まってたんだもん」 「そーゆうこと言うなって」 ――こいつは。
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