喪失 #4

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弓槻と――そうしてみたかったんだ 何かが変わるとも、そんなこと思ってもなかったけど ギスギスとしたこのままの空気のどさくさに紛れて 少しくらいは、望んでることを叶えたいって思う自分も――図太い、そう思った 口元までもってったカツを、観念した弓槻がぱくっ、と鯉みたいな口をして口にいれた 「んん」 「な?」 「上手上手」 「だろ」 これが偽りの時間であってもいい 嬉しかった――何もかもが
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