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身支度をして目的の場所へ向かう
「ここね…」
大きく豪華な装丁の施された何枚の扉が重なっているような扉の前に立ちながら少女はつぶやく
目の前の扉の威圧感に驚いているように見える
微笑んでいるようにも見える
「そうでございます、主」
そして彼女の問いに答えるようにそばに付き従い待機する金色の美しい毛並みを持つ1匹の狐が声をあげる
その声は中性的でそれでいて人間の声とは似ても似つかない
形容しがたい声
「主、私は姿を隠しております
くれぐれもご自分が何者であるかをお忘れなきように」
「…わかってるよ
それに正体を明かしたりするヘマもしないよ」
少女は存在が薄れるように消えた狐のいた場所を見ながら小さく息を吐き、扉に細くしなやかな指を当てた
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