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「万年筆……」
月君は箱から出した黒い万年筆を、キラキラした目で眺めた。
「お医者さんはカルテ書く時、よく万年筆使うでしょ?
だから必要かなーって思って」
「真理子!」
「うおっ!」
突然月君が愛くるしい笑顔で、私を強く抱きしめた。
「嬉しすぎてヤベェよ、ありがとう。宝物にする」
「やった、宝物にしてもらえた」
笑う私に、月君は顔を近づける。
チュッ、チュッと、おりてくるキス。
「まだ足りない」
「え、ちょ、ここ玄関ですけど……んん」
ちょっと強めに、月君は私を床に押し倒した。
下になった私は、体をよじる。
月君の手が首筋を這い、口の中に熱い舌が入り込んできた。
あ、やば、あ、わかんなくなる。
「はぁ、ふ……」
脳みそがキャラメルみたいに溶けていく。
とろんって、顔がだらしなく緩んで。
「待って、ホントに待って」
「何で。いいだろ」
「ケーキ、ある。いちごケーキだよ」
「……」
ちょっと考える月君。
「いちごケーキ食べてからに、しよ」
「……いちご、か」
「そう、いちご」
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