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「……先にケーキ」
「はいよろしい」
月君の両肩をポンと叩き、私は起き上がった。
月君も靴を揃え、バッグを私に渡す。
「ぶっちゃけ早よ食えって感じだからさ、食べて」
「ハイハイ、悪かった悪かった」
平謝りし、月君は私の肩を抱き、頬っぺたにチュッと唇をくっつけた。
私も同じことをして返すと、月君は微笑しながら「うりうり」と囁き、私の頬っぺたをグーでぐりぐりした。
何だろう。この人萌え殺しの罪で懲役10年ね。
「さぁ、こちらが真理子特製ショートケーキです」
冷蔵庫からケーキを出すと、月君はもうフォークを手にし、席についていた。
待ちきれない子供か。
「うまそう……」
「ホント?よかった~」
「写メる」
月君がスマホを取り出し、私とケーキに向けた。
私はダブルピースで、はち切れんばかりの笑顔でキメた。
「待ち受け決定」
「ええ!?恥ずいよ」
「無理。決定事項」
「じゃあ私も撮る!」
私もスマホを用意し、月君にレンズを向けた。
かなり照れ屋のようで、どこ見てんだよって言いたくなるほど視線を彷徨わせた月君が撮れた。
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