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25分間パズドラをやり続け、なかなかいいところまでいった時、オーブンが鳴った。
無事焼けてますように。
私は手をこすり合わせて願った。
そっと蓋を開ける。
「あっ、いい感じだった」
呟いてから思った。
可愛くない呟きだなーと。
私が好きとか、月君なかなかの希少種だ。
スポンジは、ふんわりと柔らかそうに膨れていた。
大成功だ。
どうしよう。これ写メって月君に送ろうか。
いや、サプライズにしたほうがいいよね。
ケーキクーラーにスポンジを乗せ、さらに冷えるまで待つ、と。
ここで使わなくなった調理道具を洗う。
国家試験の勉強が終わるまで、私と月君は一緒に暮らさなかった。
私は自分のマンションで、月君は神奈川のマンションで、自分の時間を過ごしていた。
いわゆる、遠距離恋愛。
それでも私達は、定期的に連絡を取り合った。
不安もあったけど、2人で乗り越えることができた。
月君が試験に合格した、と彼から聞いた時、私は「ぬわあああん!!」と大泣きした。
そんな私を「普通逆だろ、つかぬわああんって」と、月君は笑って慰めてくれたっけ。
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