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「田舎の夏休みってのはどうや?」
訛りの入った柔らかい言葉で、担任の篠崎はじわりと汗をかいた頬にえくぼをつくった。
「特に・・・まぁ、涼しくて、過ごしやすいです。」
「そうかー!俺は慣れたから暑く感じるんやな、贅沢なもんや。」
クリアファイルをうちわ変わりにあおって、本来なら午前中に配り終えているはずだったプリントを2、3枚まとめて手渡す。何のために登校日があるのだろうか。生徒の状況確認のためであるなら、今終えたこの会話ともいえない会話ですでに意味はなされたと言って良い。
この周辺で唯一の高校で、
1ヶ月という短い日数は、ナツにとって変化をもたらすような期間では無いのだから。状況確認であれば、特になにもないことが相変わらずで間違いなかった。
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