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教室の戸を開けると、そこには一瞬眩しい光が広がった。
埃臭いと言おうか、木や紙に絵の具のにおいに埃が混ざったようで更にはニスや糊のような鼻をつく感じもあった。
一瞬の光は、校庭に面した窓からの陽で間違いないだろう。穴ぼこだらけの大きな机は何の着色もされていない素材そのままの木材の色で、反射した光は黄色く見えた。
「眩しい。」
目が慣れればなんてこともなく。
いつの間にか足を踏み入れていたその教室は、通常授業を行うあの教室では無く、越してきたばかりのナツにとってまだ殆ど関わりの無い特別教室「美術室」だった。
「ナツちゃん」
声はその奥にある扉からだった。
以前、一度だけ、美術の授業が始まる頃に先生がそこから画材を抱えて出てくるのを見たことがある。扉のすぐ前に座っていたからこそ覚えていた記憶だが、たしかそこは美術準備室であるはずだ。
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