第1食

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「食べてみたら美味しいかもよ?」 「……味見はしたのか?」 「…………下」 「おい、目を見て話せ」 「貴方に言われた通り作ったのに…」 「そうだな、教えたな」 「この本にも書いてある通り作ったのに」 「それで何でこんなダークマターが出来る?」 「貴方の事を思って、アレンジを」 「いらない!その気持ちは凄く嬉しいけどアレンジはいらない!」 「さしすせそだって覚えたわ」 「…俺が教えたもんな」 「“さ”はサドンデスソースでしょ」 「いきなり殺しに来たな」 「“し”はシュールストレミング」 「はいストップ!」 「何?」 「入れたのか?」 「大丈夫。消臭剤も一緒だから」 「何一つ大丈夫じゃ無い上に人間の食い物じゃ無くなってるじゃねぇか!」 「豚の餌よりマシでしょ?」 「二郎馬鹿にすんな!」 「せっかく作って来たのに…作る側の気持ちも考えてほしいわ」 「せっかく育てた食材を生ゴミ以下に調理される生産者の気持ちを考えろ…これは何だ?」 「あぁ、“紫”キャベツ?」 「塗ったのか?」 「油性だから水に強いわ」 「何でだ!?何でこんな酷い事が出来る!?」 「え?だってキャベツって緑だけでしょ?」 「お前はピーマンの前でも同じ事を言う気か!?」 「うん」 「こいつっ!?もう良い!次、これだコレ!」 「ただのご飯でしょ」 「嘘を吐くな!」 「失礼ね。そりゃあちょっと色が変だけど」 「ちょっと!?これがちょっと!!?」 「…だって銀シャリって言うじゃない」 「あれは白米の輝きを表したただの表現だよ馬鹿野郎!」 「分かった。つまり、貴方が言いたい事はこうね?“料理は塗らない”」 「まず食べ物を塗るって発想が理解出来ねぇ」 「これならどう?自信作よ」 「ミートボールか…何肉だ?」 「魚肉」 「シュールストレミングだな!?」 「そうとも言うわね」 「お前さっき消臭剤がどうとか言ってたろ!?」 「ミラクルクリーンを使ったわ」 「種類が問題じゃ無い!」 「じゃあ何が問題なのよ」 「何もかもだよ!」
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