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蒸気機関車はシュガードーナツ湖を取り囲む山々を登る為、2両の蒸気機関車が追加で連結されそれでも喘ぎながら山を登り始める。
これほど高い山の無い港町周辺から来た観光客達が、その遠望の良さに皆車両の窓に釘付けになり、眼下に見える水力発電所や山を流れ落ちる急流の川の流れに目を奪われた。
蒸気機関車は喘ぎながらも山の山頂部にある、中の島市シュガードーナツ湖駅に到着。
駅は帝国領各地からシュガードーナツ湖の観光を楽しみにしている、観光客を満載した列車が次々と到着しごった返している。
駅の外ではホテルや旅館の客引きによる観光客の争奪戦が行われていたが、客引きの多くは上等な生地で織られた服を着てブランド物のカバンを持っている帝都からの観光客に群がっており、社員旅行の一行のように地方からの観光客の方が多数派にも関わらず、近寄って来る客引きは少数であった。
一行は予約していた旅館の幟を持つ客引きを見つけその後ろに従って歩く。
帝都からの団体客は、持っている荷物を旅館やホテルの従業員が引くリヤカーに乗せ、2~3人に1人の割合で案内の者が付き、宿泊施設に着くまでの間観光案内のサービスを受けている。
地方からの観光客にはそのようなサービスは一切無く、観光地の見せ物に目を奪われ置いてきぼりになった客が出ても知らんふりだった。
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