第1章

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永遠に思えた夏休みも、その幕締めは一瞬だ。 気ままに過ごしていた昨日までの日常。 それが一転、恐ろしく規則正しい毎日になるのだと思うと、胃が重くなる。 が。 久し振りの待合所の、久し振りの彼女。 今日もその視線はひたすら本に注がれ、外れることはない。 かつての日常の始まりは、胸に溜まった空気を解放していった。 風が、夏の終わりの匂いを運んでくる。 彼女の髪が、少し揺れた。 B「あ」 長くなってる... 零れた言葉に反応したのか、彼女の顔が上がる。 小さな唇が動いた。 A「おはよ」 近付いてくる、電車の音。 視線はゆっくりと俺から逸らされた。 髪先が、はらはらと前へ流れていく。 B「お、はよっ!」 A「......」 B「あの。これから。...も、また、よろしく」 A「........うん」 彼女の笑顔が、俺に、向けられた。
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