1話

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「おーい、マル?聞こえてるー?」 「あ、悪い。聞いてなかった。」 僕の言葉を聞いたソラがそっぽを向いた。 ソラと親しくない奴から見たら、機嫌を損ねてしまったように見えるだろう。 怒っている、と勘違いして、ビビって逃げ出すかもしれない。 でも僕とレオは、ソラが態度をしているときの感情を知っている。 拗ねかけている。 レオが拗ねると、それはそれで手がつけられない。 非常にまずい事態だ。 頭の中でどうしよう、と考えていると、ソラが完全に背を向けてしまった。 まずい。 「マル。今日の帰りはどうするか、って話なんだけど……。」 「あ、なるほど。」 レオに助けを目で求めると、こそこそと教えてくれた。 「えーと、帰りに店寄って買うもん買って、ソラん家に行って勉強しようぜ。」 「おう!」 レオは元気よく返事をして、ピンっとしっぽを立てた。 慣れると、レオの感情は分かりやすいくらい態度に出ていることが分かる。 僕はレオの機嫌が直ったことを察知して、ほっと溜息をついた。
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