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「元カレがしつこくて悩んでたみたいでな。その解決のために俺が恋人役をして、その報酬として特別価格でオーダーメイドを受けてくれるっていう、そういう約束だったんだ」
扉の足元に置いていたらしい黒い紙袋を持ち上げ、かさかさ揺らしながら、聖司がまたベッドに腰掛ける。
黒地に白文字で印刷された、疎い俺でも分かるような有名ブランドのロゴ。
噂のオーナーって、そのブランドのかよ。
想像外の相手の大きさに、思わず怯んで目を逸らす。
聖司の、紙袋を開く音が響いた。
「でも俺、そういうの疎いし、1ヶ月もかかるなんて知らなかったから、結局遅れちゃったんだけど」
苦笑した聖司の言葉が、ふと、胸に引っかかって。
1ヶ月? 遅れた?
いくら鈍いって言われる俺でも、その単語にはさすがに覚えがある。
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