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重石でも乗せられたような瞼を押し上げ、何故かぼやける視界に瞬きを繰り返す。
俺の記憶が正しければ、視力は両目とも2.0あったはずだ。
滲んで霞む天井を眺めていたら、少しの雫が耳へと流れた。
「っ……はぁ……」
どんより吐き出したため息は重く、のっそりとベッドから体を起こす。
薄い布団に、新しく頬を伝った雫が落ちた。
染み込むほどじゃないそれを指先で拭い、ぺたぺたと素足でフローリングの床を叩く。
夢の内容は、なんだっただろう。
まだ寝ぼけた頭で涙の理由を探せば、セピア色の情景が脳裏をよぎる。
それがおそらく、泣いていた理由だ。
手の甲で軽く目を擦った俺の視界に、何の印もついていないカレンダーが入る。
あぁ、そうか。
「俺、今日、誕生日か」
篠崎 涼介
涙に目が覚めた、20歳の誕生日。
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