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教室の戸を開けたら、そこにはあの日の君がいた。
夕陽が差し込む教室。一番後ろの窓側が君の席。
頬杖をついて、窓の外を眺めるその姿を私は毎日遠くから見ていた。
気のきいた話も、隣に座ることも出来なかった。
それでも、君を好きになれたことは、私の高校生活を鮮やかに色付け、大切な思い出にした。
私に気付いたのか、君は突然立ち上がり、私を見て笑った。
夕陽に照らされた君の顔は、逆光ではっきり見えない。
それでも、私を見て笑った。
それだけで泣きそうになる。
君は、ゆっくり後ろを向く。
私は息を飲んだ。
この光景を私は知っている。
思わず叫んでいた。
「だめ!行ってはだめ!」
手を伸ばしても君に届かない。
走っても間に合わない。
それでも、あの日みたいにただ見ているのは嫌だった。
「大丈夫。君は生きているから」
君はそう言うと、笑顔のまま窓から飛び降りた。
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