第1章

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気がついたら、たくさんの花が咲き乱れる花壇の上にいた。 身体中が痛かった。 右を向くと、私が担任をするクラスの男子生徒が倒れていた。 呼吸が聞こえるから気を失っているだけだろう。 教室の窓から飛び降りようとする生徒を止めようとして、一緒に落ちたようだ。 私は仰向けになって、落ちた教室の窓を見た。 あの日、君はこうして落ちた教室の窓からカーテンがなびいているのも、慌てて身を乗り出し覗き込んだ私の顔も見ることなく、逝ってしまった。 私には後悔しかなかった。 苦しくて苦しくて、君も、あの日見た光景も忘れられなかった。 懺悔ではないけど、あの日の君を追いかけるように、私は母校の教師になる道を選んだ。 「先生!大丈夫!?」 慌てた様子で同じクラスの女子生徒が窓から身を乗り出す。 あの日の自分と重なって、視界が滲んでいく。 君の最後の笑顔が鮮明に蘇る。 ああ、君が助けてくれたんだね。 君と同じ時間、同じ場所、同じことを思った彼を助けてくれた。 私を助けてくれた。 「…ぅ…、う、うわーん」 私は良く分からない感情の中で、子どものように泣きじゃくった。 私は、君が私という人間を知っていてくれたことが嬉しかった。 あの日、どうして逝ってしまったのか、教えて欲しかった。 やっぱり今でも君が大好きで、もう一度会いたかった。 会いたくて、会いたくて、たまらなかった。 もう会えなかったとしても、どこかで君も元気で頑張っているんだと思っていたかった。 私は、ずっとずっと泣きじゃくっていた。 君の笑顔が忘れられない。 「大丈夫。君は生きているから」
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