第1章

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A「・・・久しぶり、です」  その眼が、空虚な光を留めていなかったらきっと気づけなかっただろう。  眼鏡の奥にあった生気のない瞳に、ぼんやりとした光を灯していなければ、俺は自分が生きている者ではないだなんて気が付かなかっただろうなと、目覚めるたびに思った。  その眼差しは必ず本に向けられていたけど、不意に絡む視線は「一緒に居たい」と切ないほどに言葉を宿している。
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