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side ~達也~
「よぉ、白石。飲みに行こうぜ」
「あ…、これからですか…? 」
「おう。なんかあんの?この後」
「…いや…、特には無いんですけど…」
「なんだよ、せっかくの俺の誘いに乗り気じゃねぇじゃねぇか。」
「いやぁ、もちろん行きたくない訳じゃ無いんですけど…」
歌番組の収録終わり、そう言って礼くんは困ったようにはにかみながら、俺たちがいつも良くしてもらっている大先輩に肩を抱かれて、そのままスタジオを出て行ってしまった。
この後メンバーは全員仕事が入ってなかったはず。
そしてそれをあの礼くんが把握してないはずはない。
収録後きっといつもみたいに礼くんが誘ってくれて、一緒に俺の家に帰って2人きりでゆっくり過ごせると思ってたんだけどな。
まぁ、しょうがねぇや。
日頃お世話になっている大先輩からの誘いを、礼くんが断れるはずがない。
誰よりも対人関係を大事にする人だし、先輩に可愛がってもらえると本当に嬉しそうな表情を見せる。
だから礼くんも後輩に優しく接してあげられているんだ。
「たーつや」
黙々と一人であれやこれや考えていたら、後ろから人懐っこい声で呼ばれて同時に肩をぐいっと掴まれた。
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