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過去への和解
「白いうなじに赤い紅が、ムラムラさせるね」
これから楽しい屋台巡りをしようというのに、ハルはヤラしい言葉をかけてくるのでこれも罰なんだろうか。
「もぅ、ハルおませさんが全開になってる、デート楽しむんでしょ?」
彼の腕を引いて何とか気を逸らせようとする。
リンゴ飴や綿菓子、イカ焼きに唐揚げのお店等が所狭しと並んでいた。
浴衣を着た小さな子も沢山いて、お祭りを楽しみにしていたあの頃の私のようだ。
可愛い浴衣を着て嬉しくて同級生の女の子と屋台に行ったり、おませな子は好きな人に見て貰える小さなイベント。
私も友達の応援をした記憶があったが、その男の子はタコ焼きに夢中で、彼女の晴れ姿にはあまり興味を示さなかった。
女の子の方がおませさんだったんだと思う。
屋台を見ながら歩いていると、昔の記憶が垣間見えた。
六年生になってからは、ハルとお祭りに参加してが、二人で手を繋いで私を守る小さなナイトと一緒だった。
あの頃から屋台に興味を示さない変わった男の子というか、大人で私がリンゴ飴を買って貰ってた気がする。
「モエ、屋台終わっちゃうよ?」
考え事をしていたらいつの間にか通りを過ぎてしまっていた。
「あ、本当だ」
子供の頃は長く感じてた道が今はそうでもなく、規模が縮小したのか私達が成長したのか当時より小さく思えた。
「モエは小さいリンゴ飴好きだっただろ、買いに行く?」
「うん……」
来た道を戻りハルが買いに行く姿をみると、又昔を思い出す。
今は屋台の暖簾が頭に付くくらい背が高いが、あの頃はオジサンが前のめりになって会話してた。
「はい、お待たせ」
小さなリンゴ飴を一つ渡され、残り三つはハルが袋に入れて持っている。
不思議そうに見ていると「好きな奴がいるから一応お土産」と、あのメンバーの中にいるようだ。
すぐに食べるのが勿体なくて、暫く手に持って赤くキラキラと光る飴を眺めていた。
美味しいというより可愛いと思って買っていた気がする。
色も綺麗で浴衣姿に良く映えるし、お祭りという気分も味わえワクワクもする。
これを手にしている女の子に憧れがあったのかもしれない。
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