プロローグ

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「人は見た目が九割と言うが、キミはどう思う?」 奴はいきなりこんなことを言ってきた。 「は?」 ある春の日の朝だった。寝ぼけ眼で寝巻きのジャージのまま下に降りるといつも通りの制服にエプロンを巻いた姿の彼女が朝食を並べていた。 そして挨拶もそこそこに彼女は急にそんなことを言い始めたのだ。 「うん、いやボクは中々に的を得た言葉だと思うんだ。人の印象は見た目が九割、中身が一割。見た目が良いのと性格が良いのでは明らかに見た目が良いほうが得をすると思わないかい?」 華奢な腰に手を当て、まるで教鞭を振るう教師のごとく講釈を垂れる。その様子が様になっているのは普段から人の前で喋る機会が多いからなのだろうか。流石は一年から生徒会の副会長を勤めていたことだけはある。 そして、彼女はここまで言い切った後、とりあえず座りなよ、と着席を促す。 「はぁ……。いきなりどうしたんだ?」 少し戸惑い気味に席につけば、テーブルの上には焼き魚にご飯、味噌汁、サラダと健康にいい朝食が並んでいた。今日はパンの日ではなくご飯の日のようだ。
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