第1章
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名札には、『弦巻』と書かれており、近寄ると とても良いムスクの香りがした。 アシスタントの女性が、『ツルマキ先生』と呼 んでいるので、どうやらそれが名字らしい。 …ん。なんとなくだけど。 ゲイっぽいなこの人。 鏡越しにバチリ、と目が合う。 弦巻先生は、見とれるほど優雅な指の動きで、 私の頬とこめかみの間をそっとなぞる。 「いい?ここから、ここまでに入れるんだよ」
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