第3章 中学時代<彼女の事情>

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彼は私の涙に、全然動じなくて。 照れ臭そうに微笑み、位置を変え、横から下の 段に移動する。 私の顔を覗き込み、愛おしそうに頬を撫でると、 もう一度、繰り返して言う。 「だってさ、好きになっちゃったんだもん」 …このとき私は、与えられた一生分の幸運を、 すべて使い切ったのかもしれない。 幸せで、幸せで、幸せで。
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