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「私たち天の民はね、地上の空気があわない。ティオは比較的耐性があるとされてるけど、それは清浄な空気のある場所を探す能力に長けているだけだ」
「イグノトルさま……?」
「一歩まちがえば、どうなると思ってるの」
「あ……」
「私はティオじゃない。君を助けには行けない。そんな危ない場所へ君をひとりで行かせるなんて……できない」
思わず、ティオが吐息した。
イグノトルの気配が甘すぎて、耐えられない。
「ごめ……なさ……」
「なに、泣いてるの?」
「……ん。だって……」
「おいで」
絵本をどけて、両手をひろげる。
迷わずその胸に身体をかたむけた。
「でも、イグノトルさま。ティオは地上に行かないと……結婚できないんだよ」
「誰と?」
「え……」
甘さが消えていく。
イグノトルの気配が、不自然に隠されていく。
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