65人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
1-6-12
「あ、あの、ぼく……っ」
あなたと、結婚したい。
「冗談でも、やめてくれる?」
視線をそらし、イグノトルが自分の机のほうを見た。
「え……」
「……苦しいから」
いきなりきつく抱きしめられ、そのままベッドに倒された。
「あっ」
「大人になったら君は、私のものになる。そう約束したよね」
「……はい」
「じゃ、地上へ行く必要はない。そうだよね」
「でもぼく、どんなとこだか気になるんだ」
「あー、こことは違う世界だからね。仕方ないか」
「う、……うん」
「ま、せっかく再会の池が近いんだし、社会勉強だと思って見に行こうか」
「ええっ、そ、そうだったの?」
あの場所が、すぐそばにあったなんて。
「そうだよ。もちろん無許可での降下は禁じられてるから上から覗くだけだよ。もし本当に降りるなら、適性検査を通って講習を受けないとだめだからね」
「そうなんだ……」
最初のコメントを投稿しよう!