65人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
1-8-14
「ぼく、前の主のこと、ぜったい好きにはなれないし、わかりあえるなんて思えないよ」
「いや、ただ、諦めてるんだよ。私は誰かを嫌いだーってはねつける勇気がないだけ」
「そんなこと……」
「あるよ。嫌われてるからっていちいち態度変えるの面倒なの」
「うーん……」
「嫌われてる原因がわかってるからね、そこを避ければあっちも譲ってくれるよ」
「その結論へ行き着くのがわからないよ」
「そう?」
「ぼく、前の主はぼくの声をきらってたからずっと黙ってたけど、なにも変わらなかった」
「ああ、それはティオっていう生き物そのものを蔑視してたんだよ。君のせいじゃない」
「あ……」
「ティオって生き物が大好きでたまらないひともいるから、ティオを養育するほうに適性検査がいるよ。ちょっと国王に意見し……」
「イグノトルさまっ」
「バレた?」
「わざと話、そらしたっ」
「もー、行きたくないんだよ、私だって」
「まって。ぼく、一緒に行くよ」
「それは頼もしいね」
最初のコメントを投稿しよう!