プロローグ

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0-3-4 「おつかいの帰りだったのかい?」 「え? うん」  どうしてわかったのかな、と首をかしげる。 「それ、落とさないように一緒の袋に入れてあげるよ。貸してごらん」 「わあ、ありがとうー」  持っていた薬屋さんの紙袋も差し出した。 「イグノトル医師はどういう養育方法で、はぐれティオをこんないい子に育てたんだろうね」 「やさしいよ、とっても」 「それにしても、王宮の医務室ってそうは広くないって聞いたけど、ふたりで暮らしてるんだよね。お屋敷のほうはどうされてるのかな」 「あるのは知ってるけど、行ったことないんだ」 「じゃ、成人したらそっちで暮らせるようにしてもらうといいね」 「どして?」 「狭いと不自由じゃないかい?」 「ぼく、イグノトルさまと離れて暮らすなんて、考えたくないよっ」
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