プロローグ

5/5
前へ
/111ページ
次へ
0-4-5 「ああ、まだ子供なんだね」  店主が笑ってくれた。 「子供じゃ……だめなの?」 「ティオはいつか天使から独立するものだよ」 「独立……」 「それは天使にとって名誉なことだ」 「でもぼく、ずっとイグノトルさまと一緒がいいよ」 「公爵というお立場で、医師として王宮に勤務されてる方だよ。いつまでも甘えているのはご迷惑にならないかい?」 「そ、そんなことないよ。ぼくだってお手伝いしてるし……」 「君は知らないかもしれないけど、公爵は以前にティオを亡くした経験がおありなんだよ。君だけはどうしても成人させたいってお気持ちは、あると思うよ」 「前のティオのことは知ってるよ」 「でもね、主から独立しないと、結婚は難しいよ」 「え……っ」 「だってそうだろう? いわゆる親から独立できてない男と結婚したい女がいるかい?」 「そ、そんなっ。ぼく、子供じゃだめだあっ」 「まあはぐれティオだったんだから、主にずっと甘えていてもそう不自然ではないけどね」 「ぼく、大人になるっ」 「うん。イグノトル医師に話してごらん。きっと喜ぶよ」 「はあーい」
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加