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幼稚園の頃に自分の不注意で作ってしまった左足の火傷痕。
もうすぐ18になるという歳になってもその痕は消えなかったのに。
「貴女の現状、と言っても死因ぐらいしか言えることはないな。
では次へと移ろう。」
美しいその存在は、時折姿を消したり変えたりしながら話す。
姿を消していても声(口を開いている気はしないが、ここからは声と言おう)は聞こえるので、特に気にしないようにする。
「貴女の運命、それはここでは終わらない。
貴女の運命が指す方向へと貴女を導く。」
「私の運命、ですか?
え、終わってない……?」
神様の前で口を開くのは恐れ多いが、つい言葉が出た。
さっき神様の前で寝てましたけどね。恐れ多くも。
口を開くとかいう問題じゃなく無礼でしたほんとごめんなさい。
「貴女には、異世界へと行ってもらう。
生前の世界とは全く違った魔法が溢れる世界に。」
望む能力等はつけてやろう、と神様は感情を宿さない瞳で私を見つめる。
家族や友達と別れを惜しむ暇もなく私は別の世界で暮らしていく。
……これもまた、運命というもので、出会いと同じように別れもまた突然なんだろうな。
いや、異世界に行かなくても、もう、死んだ時に既に決まっていたことか。
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