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「……まぁ、いいだろう。
貴方の望むままに。」
神様はそう言って微笑んだ。
……初めて、瞳に感情を宿して、 笑ったんだ。
なんて綺麗な……。
こりゃ信仰するわ……。
昔の人は正しかった。
「では、最後の転生の儀を始める、そこに寝ろ。」
浮いているのか立っているのかもよく分からない白く神々しい空間にまた寝転がる。
神様は何か言っているようで言っていないような……言葉というか歌のような、不思議なものを紡いでいく。
あまりの綺麗さに聞き惚れていると、神様がそっと私の額に触れた。
「これで転生の儀は終わった。
間もなく貴方は魔法世界に転送される。
……善き新たな人生を。」
そう言って額にキスをして、何か呟いた。
何か言いました?そう聞き返す間もなく私は眠気に襲われる。
「有り難う、ございました……さようなら……。」
完全に眠る前に、その言葉だけは何とか絞り出しといた。
聞き取れたかな……。
本当に、有り難うございました、神様。
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