第1章

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さらに、この柿の木は「甘柿」である。 隣のクラスメイトや上級生が秋になると柿組に集まり、枝を折らんばかりに甘柿に群がる。 熟しきった柿が床に落ちないのは、生徒達の努力の結果かもしれない。 柿の木を生やしたままにする理事長の考えは分からないが、柿の木を通して生徒達は交流を深め、考える力を身に付けているようだ。 ※※※※※ 理事長は眉間に皺を寄せて考えていた。 「柿組は成功したんだ。 毎年柿が上納されてくるし美味い。 校庭も狭くならないし、新たなスポットとして新入生獲得にも貢献している。 しかし……2組の栗の木は失敗だったなぁ。 イガが落ちてくる位で授業をボイコットか? 茹でたりする手間が惜しいのか? いずれにせよ、切る大義名分は必要だし、柿の木を切る方向に波及させてはいけないし…… いっそのこと、除草剤で枯れてくれないかなぁ」 理事長は教育者とは思えない言葉を口にしながら、「栗組」から聞こえてくる悲鳴にあたまを悩ませていた。
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