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まぁくんの顔を見たら、我慢できなくなって涙が溢れた。
「ごめんね……泣きたいのはまぁくんなのに、涙が止まらない。あかねお姉ちゃんヒドイよ。いくらまぁくんの気持ちに気づいてないからって酷すぎる……」
私はずっとあかねお姉ちゃんに憧れていた。綺麗でお姫様みたいなあかねお姉ちゃん。だけど、許せない……。まぁくんを傷つけたことが許せない。
まぁくんがどんなに苦しいか私にはわかる。
自分の好きな人が他の人を想ってるのを見るのはどんなに辛いかを私は知っている。
私もそうだった。
あかねお姉ちゃんを好きなまぁくんを見てるのはホントに辛かった。
落ち着かせるためにまぁくんは私を抱きしめた。
「オレの為に泣いてくれてるの?」
「……」
少し掠れたやさしい声。
子供の頃からずっと一緒にいたのに初めて聞く声だった。
まぁくんの事なんてなんでも知ってると思ってたのに、こんな風に囁くみたいに話すことも、胸がこんなに広いことも、身長がこんなに高くなってたことも知らなかった。
どうしよう……
やっぱり、好きだ。
私があかねお姉ちゃんになれたらいいのに……
そうしたら、まぁくんを大切にして傷つけたりしないのに……
なんで、私じゃダメなんだろう。
「乙葉ありがとう、でもいいんだよ」
「よくないよ!まぁくんに傷ついてほしくない」
「大丈夫だから……」
「私の前では強がんないでよ」
怒りの矛先がわからず、彼の胸の中で泣いた。そんな私をなだめるように言った。
「あかねを好きだったのはガキの時の話だから。今は他にちゃんと好きなやついるし」
「……えっ?!」
もしかして、私の空回り……
急に恥ずかしくなって、一刻も早く彼から離れたくなって体を押し離す。
「まだ、ダメ。離さないし……」
その、力強い腕の感触や温かい鼓動が心地よくてもう少しこのままで居たくなった。
涙でグチョグチョの顔を見られるのが恥ずかしいから、もう少し抱きしめられていよう。
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