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テレビの音がない部屋は、なんて静かなんだろう。
そんな中だから、私はあれこれ考えてるのか。
「……誰だよ、私を好きなんて送ったの……」
いや、緑川亜弓っていうんだろうけど。
誰だよ。緑川って声優か? ……友子が聞いてくれたらしいけど、同級生も、上も下も、そんな子はいないって言われたそうだ。
何なの緑川……もしかして違う学校? それこそどういう縁よ。私、帰宅部だから他の学校の子に見られること自体少ないだろうに。
「んー」
3
私は無個性だ。
「んー」
鏡を見て思う。
ほんと、つまらない顔をしている。
「んー」
すごい、ブサイクではない。
だが、かわいくもない。
確か、ネットニュースか何かで見たけど。人間の顔を何万人も集計して平均的な顔の造形を計算してみたら、結構美男子や美女になるって書いてあった――ような気がする。私は、そのワンランク下の平均なんだろう。
平均か。
無個性。
何もない。
何もないのはつまらない。
いや違う。
「何もないは、何がつまらないかも分からない」
だって、おもしろいことを何も知らないから。
4
HEY、YO!
お前、何で、メール送ったんだYO!
お前のせいで朝から晩まで、毎日――違う、毎時間――なんか語呂悪いな。
「あああああああああああ!」
何故か、机の上でラップの歌詞を書いていた。MC私か。多分、友子も含めて誰もが予想できなかった未来図だな。私もありえないと思う。
「てか何やってんだよ……」
こんなことしなくても、メールを送り返して聞けばいいのに。
あなたは誰ですか?
何で、こんなメールを?
あなたが好きなのは本当に私なの?
いいの、私は女だよ? ――いや、その、えへへへっ。
きもい、妄想をしてかぶりを振る。
「………」
また、ベッドに寝転がる。
私は怖いんだ。
だって、メールで答えを聞いたら私に答えが出てしまうような気がするから。
それが、お前の全てだよと。
答案用紙に点数を書かれるような気がするからだ。
そんなもの望んでいない。
私は自分自身の模試なんか必要ないし、私は私だ。マークシートや面接なんてありはしない。私を知っているのは私だから――誰にも、私を見透かされたくない。
「………」
携帯を投げ捨てる。
「……んぅ」
5
私はベランダに出た。
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