0人が本棚に入れています
本棚に追加
朝、6時半。
部活がある朝は、早い。
そして、いつも、一緒。
今日もやっぱり、足音がする。
古い木造の床が、ギシギシと鳴り響く。
それが目の前で止まって。
ドサッと大きな音。
本から少しだけ視線をずらすと、彼のヨレた靴が少しだけ見える。
意識して顔は極力動かさない。
だから少ししか見えないのだ。
それで良い。
それくらいがちょうど良い。
彼は今、私と向い合わせの長椅子に座っているのだから。
私の全意識が彼に向かっているなんてことは、万が一にも悟られないように、細心の注意を払わなければ。
カサ...ッ
静かな空間に、小さな音が微かに響く。
足元だ。
栞?
手に取ってみる。
聖書の一節が印字されている...本屋さんのレジ横に置いてある栞だ。
私のではない...てことは?
顔を上げると、彼がニヤリと笑った。
B「やっと、こっち見た」
最初のコメントを投稿しよう!