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教室の戸を開けたら、そこには、廊下のど真ん中だということも気にせず、がっつりキスをしている男女がいた。
慌てて教室の中に逆戻りし、音を立てないようにそっと戸を閉める。
「さっさと終わらせてくれないと、私が帰れないっての」
さすがに、あの二人の目の前を素通りしていく勇気はない。
楓はとりあえず机の上に突っ伏した。
高校に入ってすぐの頃はいちいちドキドキしていたが、さすがに3年間で何度か「そういうシーン」に遭遇するうち、それほど動揺しなくなっていった。
ただ、今日は疲れているのだ。
とにかく早く帰って、横になりたかったのに。
長引いた進路相談からようやく開放されたと喜んで、教室に戻って荷物をまとめてた僅かな時間。
なんでそんなタイミングで、しかも廊下の真ん中なんかで始めちゃうかな。
というか、誰だアンタら。
うちのクラスの人間じゃないことだけは確かだ。
ますますもって場所を選んでほしい。
物音を立てたり声をかけて追い払う、なんてことすらも面倒で、一区切りつくまで自分の机で仮眠を取ることにした。
正直、眠くて仕方なかったのだ。
でもまぁ、綺麗だったな。
夕日に包まれた中でのキスは……
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