side 正臣 6

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放課後、胸にもやもやしたものを抱えながら、俺は楓のクラスに行った。 昼休みに見えたのは、楓が他の男と仲良さそうにじゃれあっている姿。 付き合っているわけではないだろう。 じゃなきゃ、俺と一緒に帰ったり、デートしたりなんてするわけない。 楓にだって、仲の良い男友達の一人や二人いてもおかしくはない。 おかしくはないが、面白くもない。 楓のクラスにつくとドアが閉まっていた。 開けようとして、ふとガラス窓の向こうに見える光景に腕が止まった。 いつかと同じように、窓の方を向いて机に突っ伏して寝ている楓。 その前の席に座って、じっと楓を見つめている、男。 たぶん、今日の昼休みにじゃれ合っていた男だ。 そいつが席を立って、楓の側による。 顔を近づけたのを見た瞬間、俺は音を立ててドアを開けた。 ビクッとして男がこちらを見る。 やましいことをしようとしてました!と言わんばかりの表情だ。 「松成、会長?なんでここに……」 俺はそいつを無視して、楓の席まで行った。 「楓、起きて。帰るよ」  「ん、正臣くん?」 「ほんと、無防備だなぁ。昨日言ったばかりなのに」 へ?と楓はキョロキョロして、友達の男を見つけると、ちょっと気まずい顔をした。 「アンタ、何してんのよ」 「お、俺はっ、古語辞典を返しに…」 「あぁ」 楓がそっけなく受け取ると、男は出ていった。
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