side 楓 7

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「なるほどね。ついに会長も動いたか」 翌日の昼休み、楓は凛に昨日の事を話した。 「凛は知ってたの?正臣くんの気持ち」 「気付くでしょ。アンタが鈍感すぎるのよ」 グサッ。 「そ、それでね。付き合うって何したらいいの?」 「……は?」 呆れた顔をされるが、こっちは恋愛初心者だ。 「まあとりあえず、誕生日プレゼントは渡しなよ。後は向こうが主導権握ってるんだから任せればいいのよ」 そういえば、正臣の誕生日も知らない。 次のデートも、私から誘ってもいいかな。 頭の中で色々なことが動き出した。 「誕生日?8月だよ」 その日の帰り道、さっそく誕生日を聞いてみるとあっさり教えてくれた。 「ほしいものとか……」 その瞬間、正臣の顔がかあっと赤くなったがすぐにポーカーフェイスに戻った。 「あるけど、秘密。楓からならなんでもいいよ」 誕生日まであと二ヶ月。 リサーチしなきゃ。 「あ、あとね。次の日曜、空いてるなら、デートしない?」 「いいよ。行きたいとこあるの?」 「ま、正臣くんの家。私達、受験生だし、一緒に勉強しようかなって」 正臣は一瞬、ほんの一瞬難しい顔をしたが、すぐに、いいよ、と返してくれた。 「じゃ、また詳しいことはLINEで」 ちょうど楓の家に着いたところで、正臣が言った。 「ありがとう、気をつけてね」 「うん。また明日」 楓は家に帰るなり自分の部屋に飛び込んだ。 正臣くん、まだ家に着いてないかな。 LINEを起動して、メッセージ画面を開くと、短いメッセージを送った。 「日曜日、楽しみにしてるね」 それと、悩んだ末に、『好き』と言っているキャラクターのスタンプ。 正臣からはすぐに返事が来た。 「俺も、楓が好きだよ」 短い一文に、楓はベッドの上で悶絶した。
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