side 正臣 7

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昼間にそんなことはあったが、帰り道の俺は少し浮かれていた。 何しろ、これまで俺のことを聞いても来なかった楓が、俺の誕生日を聞いてきたのだ。 おまけに、ほしいものはある?と来た。 今欲しいものなんて、1つしかない。 楓自身だ。 やましい気持ちもあるが、年頃の男子としては普通だと思う。 ただ、付き合って早々にそんなことを言えるはずもなく、適当に誤魔化した。 しかし、追い打ちをかけるように次のデートのお誘いまでしてくる楓。 お家デートをご所望の様子。 ほんとに、鈍感というか、擦れてないというか。 男の部屋に上がり込んで、何もなく帰れるとでも思ってるのだろうか。 楓がそんな積極的だとは思えないから、普通に家での勉強デートしか想定していないんだろう。 流石に断るか…… 一瞬答えに迷ったが、結局は欲に負けてOKしてしまった。 楓を送った帰り道。 部屋を片付けないとな、とぼんやり思う。 見られて困るようなお年頃映像は全部パソコンの中だから大丈夫。 後は、簡単に整理整頓して、それから… ベッドのシーツを変えるかどうか、真剣に悩む。 当日そんな雰囲気になれば、やっぱり綺麗な方がいいだろうし、ならないにしても清潔感は大切だ。 土曜の午前に洗濯して、シーツを交換しておくか。 そんな、少しやましいことを考えていたら、スマホが震えた。 見れば、楓からのメッセージ。 楓から送ってくるなんて、初めてだ。 『好き』のスタンプに心臓が跳ねる。 残念ながら、俺の持ってるスタンプにはそんな恋愛絡みのものはない。 「俺も好きだよ」 短く返すのがやっとだった。
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