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水曜日。
楓は早速、正臣の誕生日を聞いたこと、日曜には正臣の家へお邪魔することを、凛に話した。
彼氏の家でデートなんて、恋人っぽくない?
だが、自信満々で報告すると、凛はなぜか頭を抱えた。
「自分から言ったの?家に行きたいって」
「そうだけど……」
「うわー、会長も可哀想に」
なんで、彼氏の家に行くのが正臣が可哀想、という発想になるのか、私には全く理解できない。
よく頑張った!って、褒めてもらえると思ったのに。
でも凛はそれ以上そのことについては話さなかったので、誕生日プレゼントについて今度は相談した。
「何が好きとか、趣味とか知らないんでしょ?好きな色とかも」
「うん」
「それじゃ、アドバイスしようもないよ。まぁ、1番喜んでくれるだろうプレゼントくらいは予想できるけど」
なんで私より凛の方が正臣のほしいものわかるの?
経験値?それとももしかして…
「あ~違うから。何想像してんのかはわかるけど、私は会長に興味ないから」
またしても脳内を読まれた!
でも、凛の言葉にホッとする。
「じゃあ、なんで分かるの?」
「マンガでも出てくるでしょ?プレゼントは、わ・た・しって」
プレゼントは私……意味がわかって、楓は一気に赤面した。
「付き合って2、3ヶ月だし、まぁちょうどいい頃合いよね」
そうなのか。
ちょうどいい頃合いなのか。
それまでに下着を新調した方がいい?
ちょっとアダルティな方がやっぱりいいのかな。
「はーい、そこ。妄想の世界から戻ってきてー」
凛の声でハッと我にかえる。
「何あげても喜んでくれそうだし、日曜に部屋の中にあるものとかで趣味とか探ってこればいいんじゃない?」
「その手があったか!」
「それだけの余裕があればだけどね」
最後の言葉は、楓の耳には入っていなかった。
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