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土曜の朝、俺は早々に洗濯機を回してシーツを干してから塾へ向かった。
「まつなり~、また何かあっただろ」
塾につくなり、隆史に肩を組まれた。
コイツはエスパーなのか?
呆れ半分で乗っけられた腕を振りほどく。
どちらかと言えば、ポーカーフェイスだと自負しているんだが。
「明日は何があるんだよ」
言いたくない。
でも言いたい。
「……うちに来る」
「うおっ!なになに、ついに大人の階段上っちゃうわけ?」
「……いや。あの人天然だから、たぶん真面目に勉強して終わると思う」
楓は本当に天然だ。
そして無防備。
さらには、年頃の男の事を知らなすぎる。
たぶん、俺の中のやましい気持ちなんて、想像もしていないんだろう。
狼の巣に入りたがる子羊ちゃんだ。
信頼されすぎて逆に手を出しにくいところではあるが、それを逆手にとってちょっとくらいおいしい思いはさせて欲しい。
「んで?真面目な松成くんは勉強だけして終わるつもり?」
「さぁ。どうだろうな」
ニヤリと笑って曖昧に誤魔化す。
塾が終わり家に帰ると、シーツはすっかり乾いていた。
だが、ベッドには真新しいシーツをかける。
シーツにアイロンをかけるのは、面積が広いだけに面倒なのだ。
後日でもいいだろう。
整理整頓はした。
フローリングも掃除した。
シーツも交換した。
飲み物も買ってきた。
あとは、明日子羊ちゃんが来るのを待つだけ。
『明日、1時に○駅に来てくれれば迎えに行くから』
LINEを送るとすぐに返信が来た。
『楽しみにしてるね!』
今日はキャラクターが楽しげにジャンプしている。
俺も。
俺も楽しみにしてるよ、子羊ちゃん。
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