side 正臣 8

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土曜の朝、俺は早々に洗濯機を回してシーツを干してから塾へ向かった。 「まつなり~、また何かあっただろ」 塾につくなり、隆史に肩を組まれた。 コイツはエスパーなのか? 呆れ半分で乗っけられた腕を振りほどく。 どちらかと言えば、ポーカーフェイスだと自負しているんだが。 「明日は何があるんだよ」 言いたくない。 でも言いたい。 「……うちに来る」 「うおっ!なになに、ついに大人の階段上っちゃうわけ?」 「……いや。あの人天然だから、たぶん真面目に勉強して終わると思う」 楓は本当に天然だ。 そして無防備。 さらには、年頃の男の事を知らなすぎる。 たぶん、俺の中のやましい気持ちなんて、想像もしていないんだろう。 狼の巣に入りたがる子羊ちゃんだ。 信頼されすぎて逆に手を出しにくいところではあるが、それを逆手にとってちょっとくらいおいしい思いはさせて欲しい。 「んで?真面目な松成くんは勉強だけして終わるつもり?」 「さぁ。どうだろうな」 ニヤリと笑って曖昧に誤魔化す。 塾が終わり家に帰ると、シーツはすっかり乾いていた。 だが、ベッドには真新しいシーツをかける。 シーツにアイロンをかけるのは、面積が広いだけに面倒なのだ。 後日でもいいだろう。 整理整頓はした。 フローリングも掃除した。 シーツも交換した。 飲み物も買ってきた。 あとは、明日子羊ちゃんが来るのを待つだけ。 『明日、1時に○駅に来てくれれば迎えに行くから』 LINEを送るとすぐに返信が来た。 『楽しみにしてるね!』 今日はキャラクターが楽しげにジャンプしている。 俺も。 俺も楽しみにしてるよ、子羊ちゃん。
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