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――五百年後――
太陽が燦々と降り注ぐなか、広場にガヤガヤと人々が集っており、そこにはロープで身体を縛られている赤メノウのような髪の子供が今まさに処刑されようとしていた。
その子供は小柄な少年のようでよくよく見ると、ボサボサ頭の三つ編みに隠れていて分からなかったが二、三年したら美人に成るであろう顔立ちの少女であった。
「可哀想に、まだ子供じゃないか」
「いや、よく見ろよ。あの血のような赤髪と気味の悪い紫の瞳をよぉ。ありゃあ、《魔女》だぜ」
「嫌だわ、あんな可愛らしい子が恐ろしい《魔女》だなんて……。早く処刑してくれないかしら」
「まったくだねぇ。あの悪魔の娘なんて不吉なもん、とっとと殺しちまいな。うちの子が安心できないだろ」
ロープで縛られている少女に対して好き勝手に話す野次馬に少女は睨む。すると、カンカンカンと野次馬たちを黙らせるかの如く鐘が鳴り響く。
「静粛に! 広場にお集まりのみなさん。これから、この《魔女》の処刑を始める。だが、どのような処刑にしたいか、みなさんに決めて貰いたい」
白い髭を生やしたふくよかな老人が裁判もせず、いきなりの処刑宣言を高慢さが隠し切れない声で民衆に言い放つ。
赤髪の少女は老人に噛み付く勢いで怒鳴った。
「オイ、クソジジィ。いきなりオレを縛り上げたと思ったら、処刑するってなんだ!! 裁判しろよ! それでも裁判官かよ!!」
少女とは思えない口の悪さに老人は嘲笑して言う。
「裁判するまでもない。その血のような赤い髪と気味の悪い紫の瞳を持つ化け物は処刑するべきだからな」
「はあ!! 人とは違う髪と瞳だからって化け物って決めつけてんじゃねぇよ! 何処からどう見ても人間だろうが!! ボケてんのかジジィ」
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