森の中の愛の詩

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 言葉を超えた光の流れ、思念の奔流が2匹を包み込んで 行く。  2匹はそっと互いの長いしっぽを絡ませ合い、彼ら特有の愛 情表現をした。雌が雄の肩にもたれかかり、その身を委ねてき た。自分と相手との間に、永遠に続く愛を誓いあう。その儀式 を受け入れる為の意思表示である。  愛という特別なエネルギーに包まれた2匹は、更に意識を高 めて行った。心の中を流れる光がより繊細な波動に変わり、2 匹の身体が温かく柔らかな光に包まれていく。  歓喜の中で、雌のミーファスは深く長く息をして、鳴き声を 夜空に向けて放出した。  それは遠くまで、限り無く遠くまで届きそうな甘く切ない 鳴き声だった。  青い月の光が二匹を優しく包み込んで、そっと祝福を与えて いるかのようだった。                        (END)
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