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「誰!?」
「――ッ」
脱力した拍子に戸に寄りかかってしまったらしい。からり、と音を立てたせいで彼女に発見されてしまい、僕の喉は一言も声を出せなかった。
うん認めよう。コミュニケーションって、やっぱり簡単なものじゃないよね。よくよく考えれば、さっきの朝の話題も、初対面だと持ち出すまでに時間かかるわ。
そんな新発見をしながら、未だ固まったままの彼女を観察して、実は大層大きな目をしていたのだと分かる。横顔しか見たことがなかったからね。
僕がいたことにびっくりしたのだろう、一層目を丸くしている姿は、年齢よりずっと幼く見えた。
「び、びっくりしたあ。クラスメイト、じゃないよね? 何でここにいるの?」
何でと言われてもなあ。散歩中だったなんてちょっと恥ずかしくて言えなかった。
これでも格好つけたいお年頃なんだ。察してくれ。
首をかしげると、彼女はくすくすと笑いだした。
この年代は箸が転んでもおかしい年頃なんだよって、いつか近所の婆さんが言っていたっけ。あの時も意味が分からなかったけど、その場に出くわしても意味が分からないや。
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