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だって、僕は上手くやってきた。ばれる筈がない。僕は優等生。先生も評価してくれてる。クラスメイトとも上手くやってる。
あいつらが悪い。長田が居なければ学年トップだ。アイツは地味で目立たない。居なくたっていい存在だ。
ちょっと欲しいゲームがあったのに母さんが買ってくれないから、兄貴はどうせ引きこもってるんだし、人間の脱落者だ構うものか。
村上は僕を好きじゃないって友達に言ってたんだ、この立派な僕を好みじゃないって。
鈴木は、サッカーで大会に出れるからって僕より注目を浴びたからだ。みんな僕を差し置いたりするから悪いんだ。
ホームレスなんて、社会のごみじゃないか?!
「辛くはないか?」
哀れむような声だった。何だろう、息苦しい。
「お前は全部『周り』が悪くて。自分が『中心』でないといけないと思っているのだな」
「そんなこと・・・・・・ない」
「っ!!うそをつけ!!!!!」
戸が《バシン》と叩かれ、僕は跳ね飛ばされた。
「お前が軽んじていい命などない。お前のために誰かが存在して居るわけでもない。お前が中心でもなければ、お前が全て正しいわけではない。わからないのか?」
「知るか!僕は頭もいい。礼儀も正しい。見た目も悪くない。完璧なんだ!!ゴミ共に何をしても構わないだろう?!」
叫んでいた。何が悪い、役に立たないもの、僕の邪魔するものはこの世に不要だ!!
「よく言えるな。それでは聞こう。お前が居なくなって何か変わるのか?」
「僕はみんなとは違う!!」
「違わないぞ」
「違う!!」
「洗濯前に教えてやろう。少しは洗浄時間が短く済むかもしれない」
――――洗濯?!洗濯ってこれは洗濯機?!
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