第1章

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B「姫様!お戯れも大概になさいませ!」 狭い待合所に怒号が響く中、私は、本から顔も上げない。 A「...戯れとは、言葉が過ぎるぞ」 B「...失礼を申し上げました」 A「もう良い。いや、いーの。もうやめて。あたしガッコー行くんだから」 B「姫様!」 A「私が姫だから何だって言うの? あの世界から逃げてきた私に、どんな価値があるって言うの? 国王を見捨て、国民を盾にして、一人助かった私にッ」 B「お止めくださいっ!!」 睨むように見つめ合ったのは、ほんの数秒だった。 先に反らしたのは、私。 本来、彼と争う資格すらない。 私は、奴隷なのだ。 滅び行く国の。その国民の。あの世界の。 運命の。 B「姫様。貴女様は」 A「わかっておる。使命は全うしよう」 私のアイデンティティーは、もはやそこにしかない。 私は私の戦場に向かうべく、本を閉じた。
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