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クレセント鍵を捻ってみてもびくともしない。
ガラス戸の鍵ってこんなに固かったっけ?ならガラス戸は諦めて窓を開けようとしても、窓と窓の枠の間に接着剤が塗られているかのように開かない。
桟に片足を乗せて、力の限りに踏ん張ってみても、びくりともしない。
オカシイな……窓の錠はかかっていない状態なのに……私、教室に閉じ込められた?
そう思ったら、頭が真っ白になった。とりあえず、ここから出なきゃ!と危険を察知する本能が、私を動かした。
乱暴に引き戸を開くと、色付いていた廊下がさぁーと白黒に染まっていった。瞬く間に廊下の奥の方まで白黒になってしまった。
まただ。
何で?
ドクドクと高鳴る鼓動を耳の奥で感じながら、隣の教室を戸の窓から覗いた。
私のクラスと同じ光景がそこにも広がっていた。教室の中で生徒が静止している。
ここも。戸に手を掛けるが、窓と同じようにびくりともしなかった。廊下側の戸の鍵はないはずなのに。
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