モノクロ教室

5/18
前へ
/18ページ
次へ
呆然としながら、廊下を歩いていた。時間が止まってしまっているのだろうか?スカートのポケットに忍ばせた携帯を確認すると、学校に着いた時に確認した時間と同じだった。 音もなく、静かだった。みんないるのに、動かない。色がない。1人ぼっちになったみたいで、寂しさが込み上げて来た。 私、どうなっちゃうんだろう?どうしたらいいんだろう? その時、パタパタと後ろの方で足音がした。 誰かいる? 振り返ると、反対方向へ歩く男子生徒の後ろ姿が見えた。私ははっとして、目を見開いた。 無理もない。仲間だと思ったのだ。白いYシャツに紺色のズボン。半袖のシャツから覗く腕は白っぽいが、肌色だ。彼にも色がある___ 私は彼の後姿を追って、駆け出した。 走ってはいけない廊下をバタバタと音を立てて走り、「おおい、ちょっと待って、そこの君!」と叫んだ。 そこの君はこちらを振り返ると、私の必死の形相に驚いたのか、「ひぃっ」とうめき声を上げると飛び上がり、なぜか逃げ出そうとした。 「ちょ、何で逃げるの___」 すでに猛ダッシュで走り込み、彼に追いついていた私は、逃げようとする彼の腰のベルトをガッと掴んだ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加