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呆然としながら、廊下を歩いていた。時間が止まってしまっているのだろうか?スカートのポケットに忍ばせた携帯を確認すると、学校に着いた時に確認した時間と同じだった。
音もなく、静かだった。みんないるのに、動かない。色がない。1人ぼっちになったみたいで、寂しさが込み上げて来た。
私、どうなっちゃうんだろう?どうしたらいいんだろう?
その時、パタパタと後ろの方で足音がした。
誰かいる?
振り返ると、反対方向へ歩く男子生徒の後ろ姿が見えた。私ははっとして、目を見開いた。
無理もない。仲間だと思ったのだ。白いYシャツに紺色のズボン。半袖のシャツから覗く腕は白っぽいが、肌色だ。彼にも色がある___
私は彼の後姿を追って、駆け出した。
走ってはいけない廊下をバタバタと音を立てて走り、「おおい、ちょっと待って、そこの君!」と叫んだ。
そこの君はこちらを振り返ると、私の必死の形相に驚いたのか、「ひぃっ」とうめき声を上げると飛び上がり、なぜか逃げ出そうとした。
「ちょ、何で逃げるの___」
すでに猛ダッシュで走り込み、彼に追いついていた私は、逃げようとする彼の腰のベルトをガッと掴んだ。
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